花よりもなほ

感想を3日間に引きずるなんて…、くどい。いつものことだけど。
まあ、昨日のはメモだけど。
ところでAB型って一つのことを追求してずっと考えるの好きじゃないですか。
血液型関係ないのかな。


と言うわけで花よりもなほの感想。ネタバレあります。


本当に最初だけなんだけど、映像に目が慣れなかった。
なのであんなに楽しみにしてた長屋の第一印象が「目がチカチカする」。
でもやっぱりあの長屋や叩けば埃が出てくる住人や着物の自然な汚さが、終始私を映画に落ち着いて対峙させてくれていたような気がします。


最初は、好みの雰囲気で面白かったんだけど、この芝居を打つっていう解決方法はどうなんだと思ってました。
なんか、なんとなくうやむやにされたような、表面的なきれいごとにしたような。
そんなことで恨みが解消するんかな、とか。
でもそうですよね。それで解消するわけないんです。そこがポイントだとわかったときにいろいろなことがが自分の中で繋がって納得のいく結論でした。
いやあ、中身を見ようとしていたつもりだったけど、肝心なところで表面しか見てなかったのかも。あのお芝居は、解決方法じゃなかった。


この主人公の出した結論は、恨みの気持ちは抱えたまま自分の中に治めて生きていくという覚悟の表れだったように思います。
自分の恨みを晴らせば、今自分の大事にしているものを壊してしまう。
彼が仇討ちをやめた理由は、人を殺したくないと思ったからでも、仇を討てば恨みの気持ちが連鎖してしまうと思ったからでも、ましてや仇討ちなんて意味が無いと思ったからでもなく、自分の恨みは解消しなくてもそれを壊したくないと思ったからではないでしょうか。
(父の恨みを晴らすと言う意味の仇討ちではなく、その当時のシステムとしての仇討ちは意味が無いと思ったかもしれませんが。)
その大事なものというのは、もちろんおさえさん親子や長屋の生活などもあるでしょうが、彼が直前で気がついた仇討ち以外の侍としての生き方だったんじゃないかと思います。


その結論も、そして、どうせその何の役にも立たない感情を抱えていかなくてはならないなら自分の役立つように利用してやるという大芝居も、長屋の住民的なしたたかさを感じました。


あの大芝居で家族は仇が討てたと思って恨みが晴れているわけだし、自分の中だけで持っていくってのは強い生き方ですねー。
そして、同じ道を選択しようとしているおさえさんを力づける持っていきかたも感動的でした。
悲劇の人でなく、こういう地に足の着いた強さは好きです。



と言うのが私のまあ感想なんですけど、全然的外れだったりして。
この映画には、「この出来事があったからこの悩みが解決した」「その出来事があったからこう変わった」というわかりやすい事件というのがあまり無いです。
主人公の悩みに直接だったり間接的だったりで関わるようなことが、おかしな長屋住民との生活にちょっとずつ入ってます。
それは宗左の人間性のことだったり、侍の生き方のことだったり、父の話だったり、子どもの話だったり、仇討ちのことだったり。
でも本当に、それはあるだけなんですよね。あとは考えている宗左と結論だけ。


わかりやすいのってそれはいいんだけど、そういうのって大抵一つ二つの出来事が起こって一気に解決しちゃったりするんですよね。
一気に解決しても不思議じゃないっていう説得力があればいいけどさ。
大抵強引で「え、これで解決?」と思ってしまうような。
そういうのが無いのがいいです。



「忘れてました。剣以外にも父に教わったことがありました。」(だっけ。)と言うセリフは予告で見た時点ではありきたりなセリフだと思ってました。
私はてっきりその教わった剣以外のことが理由で仇討ちを辞めるんだろうなと思っていたんです。
でも実際は違いました。
自分的に印象的だったのは、その後のボソッとつぶやいた「今度進坊にも教えてやろ」というセリフです。
なんか、喜びに溢れた言葉だったような気がしたんで。


と、ここまで書いてパンフレット読んだら、もしかして、このセリフで「碁を父に教わったんです」っていうのに気を取られてたけど、気がついたのはそれだけじゃなかったのかも。叔父さんのセリフもあるし。ここの寺坂のセリフ、頭から飛んでた。
これ、もう一回見たら絶対また何か変わりそう。ノベライズ本出てるらしいしそっち読もうか。


キャストは好きな人がいっぱいで楽しかった。
それぞれに役割があってそこにいたし。
ちょっとそで吉とおりょうのシーンが、そこだけ見るといいんだけど、全体の流れの中で浮いてたような気がしました。